[対談] 大久保 貴世 × 照井 知基

楽しいはずのインターネットでの苦悩、世代にあったルールづくりが必用(1/2)

増加するインターネット犯罪に加え、中高生を中心にした、携帯・インターネットの利用の問題点が浮き彫りになってきたネット社会の現状。そんな中、「楽しい」インターネットを知ってもらおうと奮闘する、「財団法人インターネット協会」の主幹研究員でもある大久保貴世氏をお迎えし、インターネットリテラシーやネットの品格などについてお話を伺った。
対談・楽しいはずのインターネットでの苦悩、世代にあったルールづくりが必用

「楽しい」インターネット
「楽しくない」インターネット

照井

 大久保さんは「財団法人インターネット協会」の主幹研究員でいらっしゃいますが、どのような活動をされているか教えてください。

大久保

 主に公益目的のインターネットの普及・啓発をしています。わかりやすくいうと、インターネットには「楽しい」インターネットと「楽しくない」インターネットの2つがあります。これらをそれぞれ担っていた団体を財団法人として統合し、総務省と経済産業省の管轄下に入りました。インターネットに関するあらゆることを行なっている団体だと思ってください。そして、私自身は「楽しくない」方のインターネットに13年間関わっております(笑)。

照井

 なるほど。「楽しくない」インターネットについて具体的に教えていただけますか。

大久保

 例えば、「ワンクリック詐欺で法外な請求が来たけれど、お金を払わないといけないの?」「ブログで変なことを書かれてしまった。皆が見るので削除してもらえるの?」などという、インターネットに関するトラブル全般が「楽しくない」インターネットです。「インターネットのことならなんでもできるだろう」ということで、こうしたトラブルの問い合わせが協会にくるようになり、それならきちんとトラブルの相談ポータルページを作ろうということで、私ともう一人、計2名でトラブル相談を担当しています。実際に相談を受けるようになって、改めてインターネットには初心者に対する落とし穴がいろいろあるということが分かり始めました。「このままではいけない」と、本当の楽しさをわかってもらうために、インターネットのルールやマナーを作ったり、有害情報をブロックするためのフィルタリングソフトを無償提供したり、という活動を行なっています。
 2年前からは警察庁からの委託により、違法有害サイトの通報受付を始めました。直接自分自身に降りかかるトラブルではないけれど、「偶然、嫌なものを見てしまった」ということがありますよね。将来、子供たちがインターネットを使うとき、こうした有害なサイトばかりが増えてしまい、ネットを使うのが嫌にならないようにしないといけません。
 こうしたこともあり、協会ではインターネットに関する講演を全国の学校等で行なっています。子供たちや先生と、顔と顔を合わせてお話をして、ネット利用の実態を知り、活動の新たな目標を見つけています。

照井

 先ほど、トラブル相談を2名で受けていらっしゃるとのことでしたが、一日に何件くらいの相談がくるのですか?

大久保

 多いときで一日10件、少ないときで2件程度です。相談の多くはメールなのですが、電話の場合もあります。電話相談のケースでは、「インターネットが怖いから回線を抜いてしまったのでメールができない」とか「トラブルの内容が複雑なのでメールでは書ききれないので電話した」というものでした。

照井

 子供のインターネット使用に関して、学校やPTAなどは具体的な対策をとっているのでしょうか。それともインターネット協会のような外部に任せているのか、実際のところはどうなのですか?

大久保

 学校の約9割くらいはインターネットに対して問題意識を持っていると思います。そしてその半分以上は、現在トラブルが起きている、近々起こるかもしれないという、対策の必要に迫られた状況になっているので、協会に講演を依頼するなど積極的に動かれていますね。